「…江橋って実はヒーロー部だったりしねぇかな。」



ふとそんな声が聞こえてきてびっくり仰天だ。

まぁ、違うけどね。
関係者には違いない。




「あいつ、中学のころかなり強かったって噂だぞ?

しかも、なんか謎が多いし。」



「え、でもそうすると牧村も…?」






「…それはないだろ。だって、牧村だぞ?」


「そうだよな。牧村だもんな。」




「ちょ、なんですかその残念な子を見るような目は!

何?!だって牧村だぞって何?

なんでそれでみんな納得するのさ!」





思わずコソコソ話に突っ込みを入れてしまった。

だって、なんであたしそんな扱いなの?





「あ、聞こえてた。」


「聞こえるようにしゃべってただろうがお前らぁ!」




クラスメイトの男子に涙目で突っかかっていくと、またもや残念な子を見るような、生暖かい目を向けられてしまった。

クラス中に。




「切ない!あたしは切ないっすよ!

何、あたしが何をしたっていうの!」



「牧村がヒーロー部だったらすぐにバレそう。」



「言動でバレるな。」



「あたしを助けてくれた人達の中に牧村さんはいなかったわ。」


「オレの時もいなかったな。」




「マリリン、みんながあたしをいじめるんだ。」




マリリンに向き直ると頭を撫でてくれた。

ヒーリング効果が高いぜ。



ちなみにうちのクラスの女子はあたしとマリリンのやり取りを毎日見ているためか、怖い顔をされるどころか優しい微笑みで見守られている。



頭を撫でる手が髪をすくう。

そのままクルクルと指に巻き付けて遊ぶマリリン。




「マリリン、こんな髪触って楽しいかね。」


「楽しい。」




そうですか。なら動きませんよ。




「リア充だなぁ。」

「駆逐したいなぁ。」



クラスの男子の呟きには知らん顔をした。