「ヒーロー部だって!」


「覆面集団って本当に存在するんだな!」


「あたし、実は一回助けてもらったことあるんだよね!口止めされてて言えなかったんだけど!」


「マジか!」


「いつよそれ?!」


「入学してすぐに、なんか先輩に襲われそうになったときに助けてもらったの!超かっこよかったよ!本当にヒーローみたいだった!」


「実は、オレもあったことある。」


「マジ?」


「…カツアゲされそうになって、助けてもらった。」


「マジかー。すげぇなヒーロー部!」






教室内だけの会話を拾っただけでこれだ。

きっと学校中で同じような会話が繰り広げられていることだろう。




「マリリン、ヒーロー部ってすげぇんだね。」


「本当にな。びっくり仰天だよ。」


「マリリンにびっくり仰天させるなんてヒーロー部ってすげぇんだね。」




無反応では怪しすぎるだろうということでマリリンに話しかけるも、マリリンの棒読みに思わず笑ってしまいそうになる。


不器用かよ。可愛いなおい。




「牧村さん!牧村さんはヒーロー部にあったことある?!」


「ないよ!存在すら知らなかったよ!」




クラスメイトからの急な流れ弾に、勢いをつけて否定してしまった。

だってあたしに話振られるとか思ってなかったから。





「えっと、あの、え、江橋くんは、ある?!」



あたしに話かけてきた女子は次にマリリンに質問したわけだが、恥ずかしがりすぎじゃなかろうか。


まぁ、マリリンに話しかけるのはそれなりに緊張するよな。

孤高で寡黙な美青年だもんな。




「ない。」




そんな緊張した女子に対する返答が一言とは。

かわいそうすぎる。



「マリリン、冷たいよ馬鹿。
女の子には優しくしなさい。」



「返事しただけマシだろ。」


「それもそうか…」



マリリンはクラスでは大体こんな感じだ。