「ま、このまま君らに遊ばれても話が進まないから、止めるけどね?」
葛西先輩そう言って背中に隠れていたあたしの後ろに移動すると、あたしの両脇に手をずぼっと差し込んだ。
そしてそのまま、小さな子どもにするようにあたしのことを抱き上げると、胡坐をかいている足の上に座らせてあたしを背中から抱き込む形になる。
「え、葛西先輩、この格好は…」
あたしの質問には答えず、「よっこいしょ」とマリリンたちの方を向いた。
そしてぎゅっと力を込めて抱きしめられる。
「江橋も海も大人しくしないなら、くるみはずっとこのままオレが捕まえておくから。
それでもまだ、追いかけっこ続ける?」
「えぇ!このままっすか!」
「何、くるみが助けろって言ってきたんでしょ。
オレに抱っこされるの嫌なの?」
「いやあ、はっずかしいですね。この年で抱っこは流石のくるみさんでも恥ずかしいっす。」
「嫌ではないんだ?
なら、くるみ思った以上に柔くて抱き心地いいからこのまま抱っこしてよっか。」
「柔いとか言わないでくださいよ。
脂肪分ですよそれは。屈辱!」
「……なんでくるみ相手だとこんなに脱力しかしないんだろう。
こんな寒いセリフ言ったオレが悪いのか。そうなのか…」
後ろでため息つかれると、息がかかってさわさわするからやめてほしい。
というか本当に恥ずかしいからやめてほしい。
「…博光、ふざけんのもいい加減にしろよ。」
「ふざけてないよ。
はい、二人とも早く座って。話が脱線しかしてないよ。」
「…その馬鹿、返してください。」
「だから、二人が大人しくしたら返すって。
はい、座って座って。」
……すげぇ。
葛西先輩ってすげえ!
あの天使と悪魔が言うこと聞いた!
この人たまになに考えてっかわかんないけど、すごい人だってことはわかった!

