「ああ、そうだな…。
実は最近、風紀に動きがあったみたいなんだ。」
そう話始めたのはタロー先輩だ。
そういえば、なんでタロー先輩たちはここにいるんだろう。
その疑問を口にすると、「江橋を挟んでやり取りするのが面倒になった。」という端的な回答が返ってきた。
確かに、今までこちらの動きはヒーロー部のあたしからマリリン、そしてかっちゃん先輩たちに伝わっていた。
今回情報をつかんだのがタロー先輩だったから、その情報を正確に共有するために来てもらったらしい。
「うちのクラスに風紀委員だった奴らが何人かいるんだけど、そいつらが話してたんだ。
『覆面の中に女がいる』って。」
…それって、間違いなくあたしのことですよね?
「牧村の存在がばれたってことだ。」
でも、今まであたしが現場に行ったときの加害者にも被害者にもちゃんと口止めはしたし、どこから情報が漏れたんだ…?
「3年の元風紀が知ってるってことは、今の風紀委員にももちろん情報は回っていると考えた方がいい。牧村、なんか心当たりはないのか?」
タロー先輩にそう問われるも、全く心当たりが見つからない。
最近のあたしはほとんど現場に向かうことはなかったし、あったのはほんの数回…
「…もしかして。」
「「たかちゃんか?!」」
あたしと銀次郎の声が重なった。