仕方がないので事の顛末をみなさんに話して聞かせる。
話の途中でチャイムが鳴ったが、誰も部屋から出ていこうとはしなかった。
「なるほど。
…大したことねぇじゃねえか。」
話を聞き終わっての第一声が海先輩のそんな言葉だった。
「別にあたし、大変だったともなんとも言ってないですけど。先輩たちが勝手に大事にしたんじゃないっすか。」
「それもそうか。
ま、女子にやいのやいの言われてるくらいなら別になんともないだろ。
もしそこに男と暴力が入ってきたらちゃんと言えよ。」
「…え、事後報告でいいの?
もっと事前にくるみちゃんを危険にさらさないための防衛策とか考えないわけ?」
そこで今まで静かだった仁先輩が口をひらいた。
この人はいつだって見た目と考え方にギャップがあるよなぁ。
金髪ちょんまげのくせに常識人だもんなぁ。
「オレたちはちゃんと安全策練ってこいつに言ってんすけど、この、馬鹿、は、いつだって聞きやしねえんす。」
馬鹿と言いながらあたしのおでこをガスガスとつつくのはやめていただきたい。
馬鹿がもっと馬鹿になるだろうが。
「一応、江橋とペアで行動するように言ってるんですけどね。
なかなか守ってくれないんですよ、この馬鹿は。」
葛西先輩もやれやれだぜと肩を落とす。
みんなしてあたしを馬鹿馬鹿と。
銀次郎だってあほの子なのに。
「まぁまぁ、くるみが馬鹿なのは今に始まったことじゃないんすから、今はいったん置いておきましょう。
今日はなんか大事な話があったから集合したんすよね?」
陣野くんはさらっとあたしを貶しつつ話を変えた。
絶対あたしを貶す必要はなかったと思うんだが、そこのところどうだろう。