「文彦、遅い。」



昼休みがもう終わるというのに、マリリンと二人で銀次郎に連れてこられた華道部部室、またの名をヒーロー部本部(仮)には海先輩、葛西先輩、陣野くん、そしてなぜかかっちゃん先輩とタロー先輩、仁先輩までいた。




「だって、教室言ったら江橋しかいなくて、ずっと待っててもくるみったら帰ってこないんですもん。

で、いざ迎えに言ったら副会チョーといちゃつきながら戻ってくるし。

それ見て江橋もギラギラしだすし、副会長が帰ったと思ったら今度は二人でいちゃつきだすしで大変だったんすよ?」




海先輩の睨みつきの一言に、そんな言葉を返す銀次郎。


事実を捻じ曲げて伝えるのはやめてほしい。





「え、何、牧村って本当に沼田と付き合ってんの?」



「タロー先輩、冗談きついっす。

あたしがあんな腹黒と付き合うはずないじゃないっすか。ね、マリリン。」




「おう。あいつにはやらん。」



「じゃあ江橋と沼田と二股かけてんのか。やるなお前。」



「……かっちゃん先輩、顎、かちあげますよ。」





にっこりと効果音がつきそうなほどきれいに笑って見せたらかっちゃん先輩が素直に謝ってくれたのでちょっとつねるだけにしておいてあげよう。



「まぁくるみが沼田と付き合おうが江橋と付き合おうがどうでもいいんだが、なんか面倒ごとに巻き込まれたんならちゃんと言え。」



あたしが笑顔でかっちゃん先輩の腕をつねっていると、海先輩に頭をたたかれた。