「付きまとうなって、なんの話ですか?」
あまりに低い声にお姉さま方が体を強張らせたのがわかった。
「この子、最近、生徒会室にまで行って、沼田くんに付きまとってたんでしょ?
だから、迷惑なんじゃないのかなって…」
副会長の冷たい声に負けじと、ビビりながらではあるが声を発したお姉さまはすごいと思う。
こんなに敵意を向けられているというのに。
「…先輩方、なにか勘違いされているようなので言っておきますが、この子がオレに付きまとっているのではなく、オレがこの子に構っているだけです。
部外者が勝手な憶測で行動して、事を大きくしないでもらえますかね。」
にこりともせずに切り捨てる。
副会長が言っていることはすべて事実であるため、口を出す隙も見当たらない。
お姉さま方はついには固まって動かなくなってしまった。
「今後、二度とこのようなことはしないでください。」
それだけ言って、手に持っていた資料を適当に棚の上に置いてあたしの腕をつかんだ副会長は、資料室から廊下へと出た。
なんであたしまで連れてこられているんだ。
「くるみちゃん、怪我はしてない?何もされなかった?」
廊下へ出たとたん、先ほどの表情はしまい込んでいつもの腹黒な副会長の顔に戻った。
資料室の前にいて、お姉さま方が出てきてしまっては気まずいので、歩きながら話を進める。
「お話ししてただけなので、怪我とかはないです。」
「そっか、よかった。…ごめんね。オレのせいで。」
急にしょんぼりしだす副会長。
なんだそんなしおらしい態度。
あたしはそんなものには騙されんぞ。

