銀次郎たちとは別のルートで校舎内に入る。
もちろん誰も見ていないのを確認してマスクも外した。
そのままトイレで身だしなみを整えて美術室へ向かう。
マリリンのお迎えだ。
美術室に入るとまだ部活の最中らしく、美術部員が思い思いの場所で作品を手掛けていた。
マリリンは人の目があると描きたくなくなる病らしく、いつも美術室の隣の空き教室で絵を描いているため美術室にその気だるげな美青年はいない。
「牧村さん、いらっしゃい。」
「お疲れ様です!」
美術部員はマリリンとあたしがセットであることはとっくの昔に把握済みなので、あたしがふらっと美術室に来ようとたいして気にしていない様子だ。
「ちょっとマリリンのこと待っていたいんですけど大丈夫ですか?」
「うん。静かにしてれば大丈夫だよ。」
許可をもらったところで、定位置に座る。
マリリンが美術室の隅っこに勝手に持ち込んだあたしの勉強机だ。
教科書とノートを取り出し、先ほどまで手を付けていた課題の続きを始めるあたしの様子に、美術部員の方々は何も言わずに自分の作業に戻る。
マリリンのところへは行かない。
マリリンの邪魔をしたくて来たわけじゃないから。

