「…あたしのところに来た理由はわかりました。

でも、その役目はきっとあたしより海先輩たちのほうが向いていると思います。」




だってあたしはその篠宮さんに会ったことすらないんだから。


どんな境遇だったのかも話でしか聞いたことがない。

面と向かって話した人じゃなければどんな人かなんてわからないし、どんな気持ちでいるのかもわからない。




いくらあたしがヒーロー部に所属しているからと言って、これはあたしが適役だとは思わない。





「海先輩はああ見えてちゃんと考えて動きますから、大事な友達をみすみす犯罪者にするようなことはないと思います。

もし協力するような傾向が見えた時はあたしが止めます。」




「…そうか。やっぱり海のほうがいいか。」



「海先輩にはあたしから言ったほうがいいですか?橋渡しくらいならできますけど。」




「…いっ、いや、それはオレが自分で伝える。お前は今日オレにあったことは海に言うな。


…オレが殴られる。」



はぁ…?

なんかこのお兄さん急に挙動不審なんですけど。




「お前の名前と顔を知ってたのは前に海に写メを見せられたからっていうのは本当なんだ。

そのとき幼馴染だということも聞いた。もしお前を騙して使おうとしていたことがばれたら海に殴られる。」




「…別にあたしと関わることに海先輩の許可はいらないと思いますけど?」



「いや、あの顔はそういう顔だった。」




どういう顔ですかと聞こうかと思ったが、長くなりそうだからやめた。




「だから今日のことは絶対に海には言うな。オレのためにも頼んだぞ。」




なんだかだいぶ必死なのでとりあえず頷いておく。