正直なところ私は早く二人にくっついて欲しい。
雅の鈍いところも、陽太の一途なところも私の大好きなふたりのいい部分だから。
『冬華。』
『…和泉さん。』
『ぼーっとしてたらこけるよ?』
『こけません!』
この人はバイト先の先輩の、
中村和泉さん。男。
21歳。
いつも何かとからかってきて、面白がってくる。
『…和泉さんは、大切な人とかいますか?』
『…え?』
『…何でもないです。片付け行ってきます。』
『…んー、いるかな。』
その言葉に動きを止めた。
『冬華ちゃん、今日時間ある?』
和泉さんから誘われたのは、この日が初めてだった。