「じゃあ、あたしは帰るね。バイバイ」


私と乃愛の会話に別の声がとんだ。


落ち着いた凜とした声。


いつものようにソッコーで帰ろうとする美羽(みう)の左腕を乃愛がガシッと掴んだ。


目に見えないほどの速さで。


乃愛、そんな動きもできたんだ…。


容姿からは全く想像できない…。


「美羽も待ってくれるよね?」


「は?嫌だ」


真顔のまま返す美羽。


その顔は怖いよ…。


「くるみも待ってくれるのに」


…あ。


…私、いいなんて一言も言ってないけど。


いつの間にそんなことに…。