乃愛は涙声のまま続ける。


「分かるわけないよね。…乃愛、くるみに何かした?怒らせるようなことした…?」


乃愛は私に詰め寄る。


そして乃愛は私の右手首を掴んだ。


キューと握られる。


「ねぇ、答えてよ。…答えてよ!!」


乃愛が大声を上げた。


頭がキンキンする。


耳が痛い。


「…ごめん…」


こんなことしか言えない自分を殴りたい。


乃愛は絶望という表情を私に向けた。


自分から掴んでいた私の手首を離した。


「恭也。ごめんね、尾行なんかして。大丈夫。もうしないから」