学校から自宅へ帰り、私は玄関に鞄を置いて早々に、再び外に出た。
向かう先は、斜め向かいにある一軒家。
もう見飽きるぐらい見てきたその家は、屋根がオレンジ色で可愛らしい。
私は、インターホンも押さずに慣れた手つきで暗証番号を押して中に入った。
乱暴にドアを閉め、大きな声で叫ぶ。
「ナツっっ!降りて来なさいよっ!!」
反応はナシ。
まぁ、これぐらい想定内だけれどね、
きっと今頃爆睡中なのよ。
私は靴を脱いですぐそばにある階段を駆け上がる。
一番奥にある部屋のドアをバンッと開けると、案の定スヤスヤと眠っている"ヤツ"の姿がそのにはあった。
「ナツ! 起きなさいよっ。
今日という今日は許さないわよっ!?」
バンバンと寝ているナツを叩くと、んー 、と顔をしかめて寝返りを打つ。
……こうなれば…
「ナツっっ! 起きなさいってばぁっ。
… もうクッキー焼いてあげないわよっパンケーキだって作ってあげないんだから!」
「……むり」
…ふん。 チョロいわね。
ナツの弱点は知り尽くしてるわ。
甘いものが何よりも大好きなナツは、あっさりと目を覚ました。