「はぁー。 王子様ってば照れてるの?
全く出てきやしないわね!」
電車通学の私たち。
駅構内を歩きながら王子様を捜していた私は、深い溜息をついた。
駅構内で王子様を捜すのも日課。
入学式は、ナツも一緒に登校してたんだけれど。
ナツのオーラが輝きすぎて王子様が現れないから夕雨に相談して時間をずらすことにした。
元々、うるさいのが嫌いな夕雨は大賛成
中学の頃からナツが居ると、沢山の女の子が寄ってくるからいつもうざーっ、て顔をしていたわよね。
「ねぇ、もう諦めなよー。
いないって王子様なんて」
「お黙りっ! たとえ夕雨でもシンデレラを馬鹿にしたら怒るわよ」
「馬鹿にしてるんじゃなくてさー
もう入学して一ヶ月経つよ?
無理だって」
「たった一ヶ月よ!
それだけで、それだけでいったい人の何が分かるっていうの!」
「もう一ヶ月だって」
ホント薄情なヤツね!
もしかしたら、今日にでも出会いはあるのかもしれないのよ!?