ブンブンと頭を振って、何かの間違いよ、と呟く。
「星さ、今日も王子様捜ししてた?」
「ま、まぁね?」
「ふーん。」
無心よ、無心
ナツの顔は見ちゃいけないわ。
「ん。ごちそーさま
うまかった」
「そ、そう? 良かった」
空になったお皿を手渡されてキッチンまで持っていって水につけておく。
「なぁ、星」
びくっ!
ナツはいつの間にか真後ろまで来ていた。
出来るだけ視線を合わさないようにして振り返る。
「、な、なに?」
「お前、なんで俺と目ぇ合わせねーの」
「…見てるわよ?
あ、もうこんな時間!私、帰るわっ」
「は? まだ五時じゃん。
いつもは堂々と七時ぐらいまで居るくせに……って、おい!」
「じゃあね! おやすみなさい」
まだ外は明るいけれど、一応おやすみを言ってナツの返事も待たずに外へ出た。
何意識してるのよ私は?
相手は猫かぶり男のナツよ?
王子様とは程遠い、誰にでも優しい幼なじみよ?
きっと、今日の私は熱でもあるんだわ。
火照った体を更に熱くするように、生暖かい風が体をすり抜けた。
王子様……何処かに居るのなら、
早く出て来て…
じゃないと私、
どうかしてしまいそうです。