あっ、裕吏だ。

待ち合わせ場所のベンチにすわってスマホをいじる裕吏の姿があった。

どうしよう、心臓バクバクしてる。
でもとりあえず行かなきゃ。

勇気をふりしぼって裕吏に近づいた。

「お、おまたせ」
「……」

え、無視?
なんか言ってよ。

裕吏は無言のままスマホでゲームを続けていた。

終わるまで待ってればいいのかな?

そんなことをかんがえていたら、

「それ、マンガ?」

裕吏はわたしが手にもっている紙袋を指差して言った。

「え、あ、うん」

うわーいまわたしなんかもっと言えたでしょ。
これじゃ会話すすまないじゃん。