「そんなの、覚えてない・・・・ってこともない、ってこともなくて、ってこともない。
あはははは。」

「真面目に答えて。」

私にとっては、大事なんだよ。だって・・・。

「うん。好きだった気もしなくもない。イメージが多いけど、タイプだったと思うし。
でも、そいつは、ここにはいないから。たぶん無理だけど、いつか、会える運命だといいと思ってる。」

「こっ」

「なんか言った?」

「ううん。気のせいじゃない?」

ここにいるよ。私だよ。ねえ、気付いて。

「はは。そんな顔しなくても。
なあ、お前さあ、好きな奴いるの?」

「はあ?いると思う?」

とっさに、そういってしまった。

「だろうな。おれも。
さっきの女子のこと考えると、その気になんないんだよなー。」

「そう、なんだ。」

「いないほうが、いいかな。お前と帰るの楽しいし。
女子の友達も作れるから。」

楽しいんだ。ちょっとうれしい。

「おい、真夏んちここだろ。通り過ぎかけてる。
じゃあ、ばいばい。」

「また明日。」

遠ざかる背中。


ねえ、恭君。好きな人いないって言ったの、うそになったみたい。

ホントはいるよ。2回目になっちゃうけど。好きになっちゃた。君のことが。