「じゃあ、行ってくる。」

「うん・・・。また、ね。」

「安心して。おれがいなくなることは、もうないから。ちょっとアメリカで、勉強してくるだけだから。医者になって・・・で、真夏を・・・・」

「うん。わかってるから。絶対戻ってきてね。待ってる。」

「じゃあ、」

「ばいばい!」

ちょっと出てきた涙をぬぐって、笑顔で手を振る。


彼が乗った飛行機が、離陸する。

あのときみたいに、突然いなくなるわけではなくて。

私にヤクソクを残して。

飛行機に向かって、手を振る。

見えないだろうけど。

薬指の指輪が、太陽に反射して、光った。

                Fin.