「はぁ…今日も逃げ切られた…」




「おーおつかれ、ストーカー女」




机にうなだれる私の頭を叩きながら笑った彼女は、和泉七星(いずみななせ)



「うるさいよ、七星。

それに私はストーカーなんかじゃない!」



「毎朝追いかけ回して、下校時間に待ち伏せして、先輩の乗ってる電車の時間、よく行く店を調べることのどこがすとーかーじゃないって?うん?」



金色のサラサラボブをファサッと払いながら見下ろしてくる七星。



その顔は勝ち誇ったかのような笑みを携えている



その整った顔が憎いっ!



「や、ほんと、七星その極上に美しい微笑みとかまじいらないからね?」


七星は美人だ



でもその微笑みはこの13年ぐらいで見飽きたぜ



「やだ、十和ったら、私はもともとこういう顔なのよ、ふふ」



「きっしょぉ…」



「えっ?なにか言った?」



「痛い痛い痛い痛いっ!」



七星ってほんと地獄耳っ!



何も耳つねることないでしょ!



痛い!