電気屋さん

「あら、コスモス?」

この声は。


「さえさん!」


さえさんだった。


「やっぱり、コスモスだったわ。」


「出歩いて大丈夫なんですか?!」


さえさんはここ最近調子が悪かったのだ。


「ええ。広告を見て、オーブンが安そうだったから。

来てみたの。


あらあら、ゴメンなさい。

コスモス、彼氏さんがいたのにおばちゃんが堂々と話して。」


「「か、彼氏じゃありませんっ!!」」


タクとシンクロした。


「そんな慌てなくても、そうだわ。

彼氏さんも気が向いたら家においで。

そうだわ。

明日なんてどうかしら。

コスモス、明日はお茶会だったわよね?」


「うん。

てか、彼氏じゃないって」


タクに失礼だよ。

私なんか。


「じゃあ、彼氏さん。

明日、10時にコスモスとおいで。」


「あ、はい。」


いや、タクもそこは彼氏じゃないんでって言おうよ……


あー、でも、さえさんに遠慮したんだろうな。

ヤバい。好きが積もっていく。


「じゃあね、コスモス。」


さえさんが去っていく。


「タク、『はい』って言わなくてもよかったのに。」


「別に、楽しそうだし。

それより、桜ってお年寄りにも知り合いいたんだな。」


「うん。

あの人は、私が犬を追いかけた時に会って、仲良くなったの。

今では、さえさんの家が私の勉強する場所になってるよ。」


「犬かよ。

どこまでいっても、桜は犬と水色だよな。

ホント、全然変わってない。」


タクが笑う。

覚えててくれたんだ。

嬉しい。


あ、また好きが1つ積もった。