「サク……

ありがとう。

でも、今はさっきのこと聞いて欲しいの

さっきね、大希が普通に話しかけてくれたの。

嬉しかった。

ねぇ、サク。」


夕日に照らされて、ユキの顔がオレンジ色に輝いていた。


「私、まだ、大希のこと好きなのかも知れない。」


ユキはまた、泣きそうな顔だった。

でも、全く涙は見えない。


「そっか。

ユキ、それに気付いたなら、することはひとつだよ?」


「……うん!

ありがとう、サク!

あたし、行ってくる!」


ユキは、オレンジ色に輝いている夕日に向かって走っていった。


「さって、帰りますか。」