幸せは、きっとすぐ傍





俺、付き合ってる彼女がいるんです。否、付き合ってた……かな。


別れたんです。昨日、もう無理だって。俺も彼女も二十六で、俗に言うアラサーにもなるのに、五年も付き合って今更堪えられないって言うんです、彼女。


結婚しようって言ってたのに。盛り上がってたのって、俺だけだったんですかね……って、そんなこと言われても困りますよね、すみません。


俺、彼女が好きでした。今も好きだし、好きというより寧ろ、そう、愛してる。彼女も当然俺のこと好きで愛してるんだろうな、って俺、高括ってた。多分、自分でも気付かないうちに。


それもあったのかもしれませんね、もしかしたら。直接的な原因は違うし分かっていますけど、それも良くなかったのかもしれない。


俺ね、自衛官なんですよね。見えませんか? 駆け出しだけど、これでも自衛官なんですよ。


……あ、熱出したことは気にしないで下さい。色々あったからだと思います。普段は本当風邪とかひかないんで。何年振りだろうって感じでしたから。


まあそれで、とにかく自衛官な訳なんですけれどね。会えないんですよ彼女と。滅多に。短くても二週間三週間一ヶ月なんてザラで、二ヶ月とか会えないときもあります。


彼女、それが嫌だったらしいんですよね。今日久しぶりに会って一緒に店とか回ってたんですけど、唐突に別れ切り出されて。


会えない間に他の人と出来てたみたい。俺全く気付かなかったし、というかそんなこと想像もしてなかったんですよ。さっきも言ったように、彼女も俺のことが好きなんだと信じてましたから。


だから本当は今日、違う昨日か、プロポーズするつもりでした。もういいかなって思ってて……まあ結果的にダメだったんですけど。


それでも自衛官かって思います? 自衛官はもっと強いと思ってます? 何があっても揺るがないと思ってます? 国のために命かけてるとか思ってますか?


確かに俺は自衛官だけど、その前に一人の男でもあるんですよ。一人の男で、恋だってするんですよ。それを分かってくれる人って案外少ないんです。彼女は分かってくれてると思ってたんだけどなぁ……。