幸せは、きっとすぐ傍





***


はっと目を覚ますと、夜中の二時だった。


変な体勢でいたせいか身体が痛い。顔を上げて辺りを見ると、テーブルの上には出しっぱなしの食器。片付ける前に寝てしまったらしい。


そっと良樹の手を離し、穂夏は食器を片すために立ち上がる。月明かりで部屋の中はいくらか明るく、良樹を起こさないように気をつけながら洗い終える。


冷たくなくなった枕を良樹の頭の下から抜き出すと、新しいのを滑り込ませ冷えピタを張替えた。


明日というか今日も休みだ。たまたま休みになって初めは嫌だったのだが、結果的に良かったかもしれない。


思いながら、穂夏は押し入れから客用の布団一式を取り出した。四時だったら迷うがまだ二時半である。


そういえば夕飯を食べていないことを思い出したが、今食べるより朝食べた方がいいだろうと思い、テーブルを退かして広げた布団に寝転がる。


「……ごめん」


声が、漏れ聞こえた。ごめん、ごめん。本当にごめん。


誰に言っているのかなんて、そんなの分かりきっている。彼女だ、否────元カノかもしれないけれど。


今にも泣き出しそうな悲痛な声に、彼は彼女が心底好きだったのだな、と悟る。


好きより、愛しているの方が正しいくらいに。