幸せは、きっとすぐ傍



後から言い忘れたことを思い出し、それ着てくださいねと言い置いて台所へ立つ。鍋に炊いてあったご飯とお湯を投入。


塩を少々入れて火にかけると、そろそろ着替え終わったかな、と脱衣所の方へ目を向ける。


丁度脱衣所から出てきた彼をベッドに座らせると、穂夏はテーブルを引き寄せた。鍋を気にかけつつ冷蔵庫から冷えピタと冷たい枕を取り出し、タオルに包んで両方とも彼に渡す。


冷えピタを貼るように言うと、穂夏は台所へ戻った。


茶碗に軽く一杯よそい、鍋敷きをテーブルに置いて鍋を置く。温かいお茶を注いで彼に手渡す。半ば強制的にそれを飲ませて蓮華と茶碗を押し付けると、穂夏は漸く一息吐いた。


「あの……」

「あ、それ部食べてくださいね。全部」

「全部……」


当たり前です、と頷く。食べ終わったらベッドに押し込んでやる。


食べていてくださいと言い残し、穂夏はシャワーを浴びようと風呂場へ向かう。熱めのお湯で身体を外から温めると、自分用の緑茶もいれて彼と反対側に座った。お茶は温かくて中から身体が温まる。


ほうっと吐息を零すと、かちゃん、と音がして彼がテーブルに空の茶碗を置いた。


「食べ終わりましたか?」

「はい。あの、」

「じゃあ寝てくださいねー」


あの、と。今度は強めに彼が声を出す。穂夏は持っていた湯呑みをテーブルに置くと、居住まいを正した。


「そういえば言い忘れていました。私、穂夏といいます。貴方は?」

「良樹、ですけど……」