幸せは、きっとすぐ傍



けれどちゃんと事情は説明してほしかった。それならきっとスッパリ彼のことを諦めることができたのに。


穂夏が彼に聞いたのは女の子を孕ませたということだけで、他は彼と同じ会社に就職していた友達からの情報だ。それでもその女の子の名前までは聞いていないし、だから文句も何も言えないで全部溜め込むしかなくて。


どうしようもない気持ちを抱えたまま一年、────職場の同僚に別れたことは言えていない。


事情を教えてくれた、彼と同じ会社の友達にだけは話した。さゆりは信用できる子だ。大学の時からの仲で、もう七年にもなるのか。


そのさゆりも今日は彼氏とデートで、一ヶ月くらい前からずっと楽しみにしていた。


なにもなければ一緒にいてほしかったのだけれど……我が儘でクリスマスイブに彼氏ではなく自分と過ごさせてしまうのも申し訳ないと思って言ってない。


「……あー、もうっ」


考えてしまう。一人でいるとどうしても。


布団をはいで勢いよく立ち上がる。何かをしよう。一人でいることはもう仕方ない、だったら動いて考えなくていいことをすればいい。


────けれど、どうしようか。


読書か映画か、そうでなければお菓子でも作ろうか。嗚呼、どうしてこんな日に限って日曜日なのだろう。


いっそ仕事なら考えなくて済んだかもしれないのに、と言ってもせんの無いことを呟いてみる。


声は静寂に消える。とりあえずご飯を食べようと、穂夏は軽めの朝食をとった。それからテレビを点けてザッピングしてみる。


日曜日なんていい番組などやっていない。特に今は午前十時。少し遅めの起床である。