幸せは、きっとすぐ傍


手持ち無沙汰になって何となしに外を見る。外はもう暗い、今日は彼の家に泊まってしまおうか。


帰るといえば彼は送ってくれると思うがそれもなー、とこよみが悩んでいると次の駅に着いたらしい。開くのは反対側のドアだったようでこよみはそのままその場所に立っていると────「こよみ」聞き慣れた声がしてこよみは勢いよく振り返った。


「太陽、?」


どうしてここに、と問い掛ける。彼────太陽はやっぱり見てないんだな、と苦笑しながら自らのスマホを指した。


「……もしかして」

「既読付かなかったし、気付いてないとは思ってたけど」


素早くパスワードを入力してLINEを表示した。通知有り、名前は太陽。完全に隼人からだと思っていた。


あちゃーと額に手を当て、こよみはその文に目を通す。『何両目にいる? 途中で乗るわ』理由は書かれていない、こよみが問うように視線を向けると、太陽は素直に答えを口にした。


「大地に付き合わされて買い物行ってた。LINE来た時間的にこれかなって」

「よく分かったね……」

「まーな、つか隼人に訊いた」


隼人? と訊き返せば太陽はそう隼人、と返してくる。隼人に訊くほど仲良かったのか、太陽。


知らなかったなーと呟いて太陽を見返すと、ドヤ顔をされた。何故。


いつの間に仲良くなっていたのか不思議だが、その方がかえって良かったのかもしれないと思う。こよみとしても彼と親友の仲がいいのは嬉しいことだ。


確かに太陽と隼人は気が合いそうだし、あわよくば太陽の常識を隼人に叩き込んでもらいたいが────そういえばさっきのドヤ顔は隼人の影響か、だとするとそれは望めないだろう。隼人めなんてことをしてくれる。


「……で、大地くんの探し物は見つかった?」

「おう。あいつ結婚すんだってよ。聞いてっか?」

「あ、そういえば和泉が言ってたかも」


そうか、二人はくっつくのか。確かに大地くん、仕事が仕事だもんなあ────と。


電車が減速し始めた。開くのはこちらのドアらしい。出入りする人たちの邪魔にならないように太陽と二人避けようとする。


「貴女、」


すると声を掛けられて、こよみは声の主を振り返った。