霧雨は霧になった。
秋雨は身構え、
霙は見張り室に入り、ライフルを構えた。

「行くぜ!」

秋雨は最初に向かってきた五十人を
相手にした。
訓練場といえど約三百人もの人が集まれば
さすがに狭い。
要するに少人数の方が利する。

「頭は良いみたいね。」

霙はライフルの引き金に指をかけ、呟いた。

しばらくすると、濃い霧が
あたりにたちこめた。霧雨だ。
どうやら、空気中の水分も扱えるらしい。

「へえ、知らなかったぜ!」

秋雨はその声と共に、回し蹴りで
五人を仕留めた。

そのとき、背後の敵にやられそうになった。
それを、霙のライフルが火を吹き、
間一髪で護る。

霧は時々晴れたが、そのたびに
真っ青な顔で息絶えている平和主義スパイが
増えていった。



そのうち、二百九十二人の半分が死んだ。
三十分後にはその半分も死んだ。

ここの人々が全滅するのも時間の問題だ。
そのとき、一人の人物がゆっくりと
戦闘場に入ってきた。