Pacifism Spy

レイたちを除外したのは
それなりの理由がある。

レイは、当然ながら霜降の獲物だ。
レイナは、春雨が狙っている。

イチゴは、時雨が
『バットでグチャグチャにしてやる』
と言っていたし、
豪雨は、サンゴにへし折られた鼻を直すのに
四苦八苦していた。

ナナに肩を切られた小雨は、
仕返ししたいはずだ。
ニーナとサンナは春夏と秋冬が
ターゲットにしている。

サヤは、どうでもいいはずだが、
どういうわけか放っておいた。


「ここだな。」

秋雨は骨を鳴らしながら言った。
霧雨は半分ほど霧になりかけていく。
霙はライフルを抱えている。

二百九十二人の平和主義スパイたちは
口々に騒ぎながら秋雨たちを指差している。
中にはほんの少しだが、
殺気立っている者もいた。

「クククク、見ろよ。平スパのくせに
 殺気立ってるぜ。」

「外から入ったんでしょ。当たり前よ。」

「いいんじゃね?どうせ死ぬんだしよ。」

同時に、二百九十二人が向かってきた。