Pacifism Spy

ある日、ニーナは洗濯物を畳んでいた。
すると、インターホンが鳴った。

ニーナは、継母が玄関先で話すのに、
耳を澄ませた。
もし客人で家に上がったときは、
この時間帯は、ケーキと紅茶を出すように
と言われていたのだ。


「あら？どちら様？」

「こういう者です。」

レイは名刺を差し出した。

「まぁ！大手企業の社長様？
　うちに何の用が？」

継母はレイにすっかり騙された。

招き入れ、レイが来客用のいすに座ると、
絶妙のタイミングで
ニーナがケーキと紅茶を持って来た。

「こんなものしかございませんが・・・。」

「いいえ、お構いなく。それより・・・。」

レイはニーナににっこり笑いかけた。

「働き者の良い子だ。」


レイは、継母としばらく世間話をしたあと、
本題に入った。

「・・・実は、ウチは女性を跡継ぎに
　したいのですがね、なかなか女の子が
　生まれなくて、私ももうこの年です。
　妻は私より三つも上でしてね。
　いよいよ養子をということになりまして、
　そこで、この子を養子として
　くれませんか？」


とニーナを見て言った。