Pacifism Spy

サンゴは、お洒落に関心がないのに、
この手鏡だけはずっと持ち歩いていた。

イチゴがはじめてくれた
プレゼントだったのだ。

豪雨は咄嗟に爆弾を取ろうと
腕を伸ばした。

しかし、サンゴはなんの前触れもなく
豪雨の手首を掴んでいた。
そして、

ーぐしゃりー

「ぐっ!」

なんと、サンゴは腕力で
豪雨の手首の骨を握りつぶしたのだ。

サンゴはスパイモードオンのときに
キレると、スピードと力が加わるのだ。
しかもそれは、キレる度合いに
比例する。

サンゴはイチゴからの初めての
プレゼントである手鏡を
豪雨に壊されたことと、
それを悪びれることもしないことに
怒っていた。



その間豪雨は、使える方の手で
先端が鋭く尖った爆弾を取り、

「おい、女。」

そう言い、振り返ったサンゴの
右腕に突き刺した。


「うっ・・・。」

サンゴは二、三歩よろめいたが、
突き刺さったものが爆弾には
見えなかった。

そのため、突き刺さって痛かったが、
同時に止血の役目も果たすと考え、
そのままにしてしまった。

豪雨が不敵に笑う・・・
爆発音。


「う、ぁ・・・。」

サンゴの右肩で
地雷と同じくらいの爆発をした。

サンゴには、
自分の右腕が落ちていくのが
スローモーションのように見えた。
続いて、右肩を激しい痛みが襲う。

「うぅ・・・。」


ぽたぽたと血が落ちていく。

サンゴは側にあったテーブルクロスを
引っつかみ傷口に当てた。

そのまま、がくっと膝をつく。

豪雨はとどめとばかりに
もう一つ爆弾を掴んだ。が、

ーバサッー

「うわっ!」

サンゴはテーブルクロスを
豪雨に投げつけ、一瞬動きを封じた。

そして、

ーバキッー

「ぐ、ぁ。」

豪雨の正常なほうの手首を踏みつけて
骨を粉々にした。


「・・・っ。」

「・・・っ。」

二人は重症だ。

しかし、どっちも相手に
とどめがさせない。

サンゴは血の流しすぎ、
豪雨は爆弾を握れない。

豪雨がサンゴの見方に
見つかるのが先か、
サンゴが出血多量で死ぬのが先か?


その瞬間、二人の人物が乱入してきた。