Pacifism Spy

ナナはエレベーターに乗り込み、
居住区域の一つ前の階で降りた。

階段を使いゆっくりと
足元に気をつけて昇った。

ナナは今現在、武器と言えるような
ものは何一つ持っていない。
この状況で敵に遭遇することだけは
避けたかった。

居住区域まで来て、
エレベーターの方を見てみると、
誰もいなかった。

(良かった。)

ナナはホッとした。
どのみち部屋に行くには
エレベーターの前を通らなければ
ならない。ナナは喜びすぎて
他のことまで気が回らなかった。

そう、左右の安全を
確かめなかったのだ。
その所為で、危うく誰かと
ぶつかりそうになった。


「わっ・・・と。」

「・・・っ!」

ナナとぶつかりそうに
なった人物は・・・。


「見ーつけた。」

「・・・ゲ。」


なんとナナは小雨と鉢合わせしたのだ。
この状況はかなりやばい。

ナナは丸腰もいいとこだが、
小雨は待ってくれるような
相手でもない。

ナナは一応間合いをとる意味も含め、
二、三歩後退した。



「戦闘主義スパイ、小雨よ!
 よろしく!」

小雨はそう言うと
ナナが予想しないようなところから
次々とナイフを取り出し、投げてきた。

靴の裏、ベルト、
羽織っている上着の内側、ポケットなど、
それこそ隠れてそうなところ
すべてからだ。

間髪いれずに投げてくるので、
ナナは避けるだけで精一杯だ。

おまけにナイフの柄には
糸がついていてすぐに戻っていく。

そんな中、ナナはある事実に気づいた。
全て避けることができるということは、
スピードはナナのほうが上
ということだ。