「77、入ります。」

ナナはレイの部屋に入るときの
決まり文句を言った。

扉がスーッと開いた。

レイはナナを見てフッと笑い
手招きした。


「どうした?」

ナナが少しも表情を崩さないのを見て
レイは真面目な顔つきになった。

「ナナ?」

「リーダー。やられました。
 侵入者です。」

「な、何?」


レイは一気に顔色が青くなった。

しかし、それも一瞬で、次の瞬間には
ナナに次々と質問を浴びせた。

しかし、ナナは答えられるはずもない。
するとレイは、
モニターのスイッチを入れた。

ナナは、無線で誰かに
連絡しようとした。
しかし、雑音ばかりで
つながる気配もない。

「・・・チッ!」

レイはナナの舌打ちに少々戸惑ったが
いまはそれどころではない。

モニターを見ると、
おかしなことに気づいた。

モニターには建物の
立体地図が出ている。
いつもはいろんな所に青い点がある。

【ここに人がいる】

ということを示すものだ。

それが今は八つの点以外が
一ヶ所に向かって動いている。

動いていない八つの点は、
レイの部屋に二つ、
巨大換気扇の所に一つ、
居住区域に五つだ。


「・・・まさか、霜降か?」

レイは呟くように言うと、
いきなり義眼を取った。

ぐちゃっという音がした。

ナナはうっとした表情をした。

レイは気にせず
スパイモードオンにした。

レイからあふれ出る
オーラのようなものを感じ取り、
ナナは真剣な顔つきに戻った。


「77、行け。相手は分かるな?」

「はい。了解しました。」


ナナはすぐに出て行った。

レイはパソコンを起動させ、
あるものを解除した。
そして、すぐに部屋から出て行った。
誰もいなくなった部屋では、
音声が流れた。


ーダッシュツジュンビ、
 カンリョウイタシマシター