Pacifism Spy

ナナは電話をしていた。

電話をするところまで
ニーナとサンナが
一緒に来てくれた。

ナナが電話をしている間に
二人がイチゴを迎えに
行くことにしたのだ。

「・・・もしもし？ママ？」

「ナナ！いったいどうしたの？
　レンちゃんとアキちゃんが
　心配して家まで来てくれたのよ。」

レンとアキ。
ナナをいじめていたリーダー格と
その腰巾着だ。

「うん・・・ママ、私・・・
　スパイになったの。」

「・・・！」


ナナは黙ってスパイをしていたのだ。

母は自分の夫がスパイなのは
知っていた。
娘がそこに行くのも反対しなかった。

ナナがスパイにならないのを
条件にして・・・。

しかし、ナナはその条件を破った。

世界のために働くスパイたち、
かっこよかった、憧れた、
自分もこんなふうに戦えたら、
働けたらと何度もそう思った。

そんなある日、
レイが話を持ちかけてきた。

この中には学校にいきながら
スパイをしている子もいる。
ナナはレイに頼んだ。

自分もなりたいと。
確かに母はいけないといったけど、
ナナはどうしてもなりたかったのだ。

中学に入ると、二年の途中で
高校の志望校を決めなくては
いけなくなる。

ナナはありきたりな仕事は嫌だった。
そこへスパイの存在を知れば
どうなるかは火を見るより明らかだ。

母を騙すのは心苦しいが、
ナナは意を決しスパイに入った。



「ごめんなさい。黙ってて。
　今までたくさん仕事してきたの。」

ナナは、スパイになってからのことも
全て白状した。