春夏と秋冬はもう寝ていた。
二人は十歳、年齢から思えば
おかしくもなんともない。

さらに、春夏は
指一本あれば幻術が使える。
秋冬は決まった時間に
刀の手入れをしているので、
わざわざ夜遅くまで起きている
必要もないのだった。


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二人は二卵性の双子で、
霜降が親代わりだ。

物心ついた頃から
「殺し」について
何度も何度も聞かされた。

飛び散る血の美しさ、
断末魔の悲鳴を上げる
恐怖に歪む顔、
普通の人には出来ないことを
やってのける素晴らしさ・・・

二人はそんなことを
頭に叩き込まれた。

そして、
七歳になったときには、
「殺人」という行為を
なんとも思わないどころか、
楽しいとさえ感じるように
なっていた。

同じ時期に、
平和主義スパイの存在を知り、
また、宿敵と教えられた。

そのときの霜降の憎しみに
満ちた顔は忘れられない。

そして、同じ年の
ニーナとサンナのことも
知ったのだった。

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「うー、ん。」

秋冬は目が覚めた。

隣では姉の春夏がスースーと
寝息をたてている。

たった五分の差なのに、
ずいぶんと落ち着いている。

春秋は、遠足前の
幼稚園児のような気持ちだった。

ワクワクして、
とても楽しみだ。

今までの楽しい思い出が
次々と浮かんでくる。

そのなかの1つが・・・