「またか?」

秋雨は、時雨の叫びを耳にして
ため息を吐いた。


「放っておくんでしょ。」

春雨はお気に入りの
ピアノ線の具合を確かめながら
どうでもいいように言った。

その目はガラス玉のようで、
表情から意図は読み取れない。

秋雨は黙って春雨の正面に座った。


「何?」

春雨はスッと顔を上げた。
目の前に秋雨のドアップ

ーバシッ!-


「・・・ってえ!」

「馬鹿じゃないの。」


春雨は秋雨の頬に
強烈なビンタを喰らわせた。


「何すんだよ?」

「あたしの嫌いなもの、
 三つ教えてあげる。
 
 第三位、弱い奴。
 第二位、意気地なし。
 第一位、男。」


秋雨は春雨の最後の言葉で
がっくりと肩を落とした。