Pacifism Spy

更に、大人だけでなく、子供もいる。
その中でも最年少の二人の子がいる。

「サンナ、リーダーが呼んでるの?」
「そうだよ、早く。」

サンナと呼ばれたのは男の子だ。
両親ともにスパイだったため、
物心ついた頃から、「躾」られている。
銀髪に赤い目と目立つが、
その目はスパイとしての仕事の時は、
ぼんやりと焦点があっていない。
おかけで、何を考えているのか
分かりにくい。

そのサンナが「早く」と急かしているのは
茶髪で黒目の女の子。
名前はニーナという。
この二人はとても仲が良い。

そして、「リーダー」と呼ばれているのは、
この世界を治める長のようなものだ。
五十三歳で長老ではない。
しかし、実力か知識か、初老以上の者も
なめてかかったりはしない。

ニーナとサンナは他愛のない話をしながら
地下の一番下まで来た。
目の前に、大きな扉がある。
ここで、二人はスパイモードに切り替えた。