Pacifism Spy

サヤは二十一歳まで
ごく普通の暮らしを送っていた。

二十一歳になって間もない頃、
三年間付き合っていた彼氏が
自分はスパイなんだと明かした。

サヤは、自分もスパイになりたい
と言った。
彼氏は首を縦に振ってはくれなかった。
しかし、サヤは諦めたふりをして
彼氏を尾行した。
そして、この組織に辿り着いた。

彼氏は全く気づかなかったようだ。
サヤは彼氏を説き伏せ、
レイに会わせてもらった。

レイはサヤに、
一度入ったら二度と元の世界には
出れないと言った。
サヤはそれでもいいと言い、
てこでも動かない。

レイは、しばらく悩んだ末、
尾行の完璧さと、意思の強さを認め
組織に迎え入れた。

しかし、その二ヶ月後、
サヤは彼氏と別れた。

彼氏と一緒に居たいがために
スパイになったサヤは
ずいぶんと落ち込んだ。

それに、二十一年間普通の暮らしを
してきたサヤは、他人を憎んだり、
他人と競ってきたりした。
しかし、ここの人たちは
そんなことを思う人が少ない。

自分だけ場違いな感じがして
居心地も悪くなるばかりだった。