Pacifism Spy

翌日、レイナはまだ所々から
煙が出ている貧民街の焼け跡を
歩き回り、焼け残った骨を出来るだけ
集め、見晴らしの良い所に埋めた。

そして、町に行くと、いろんな店や家を
回り、住み込みで働かせてくれるように
頼んで回った。

しかし、十代前半の小汚い格好の
女の子を雇ってくれる
ところはなかった。
雇ったとしても日雇いだった。

そういう日は、
暖かい風が吹き上げてくる
通気口の所などで夜を明かした。
身分を証明するものもない
未成年のレイナは、ホテルには
泊れなかったのだ。

そんなある日、レイナはたまたま
鍵の開いている家を見つけた。
レイナは何の躊躇いもなく入り込んだ。
怪しい素振りは見せなかった。
しかし

ーガタァン!-

「うっ・・・!」

「やっとか。」

なんとレイナは捕まってしまったのだ。
しかし、レイナはかえってホッとした。
警察に突き出されても、
とりあえず食事の心配はしなくていい。

「最近空き巣の被害が多いと聞いたが、
 まさかこんな子どもが。」

レイナは、
『それは自分じゃない』
と言おうとし、男の顔を見た。

左右の目の色が違う。
レイナは思わず息を呑んだ。

「なんだ?」

「目が・・・ない。」

この男こそレイだったのだ。

レイナはそのままレイに連れられ、
スパイになった。

会って僅か三分と経たないうちに
義眼を見抜いたレイナは、
今でもレイの数少ない
お気に入りのうちの一人なのだ。