レイナは組織に一番近い路地にいた。
金髪に青い目、スラリとした身体。
モデルとして申し分ない。

仕事中にニーナから連絡を受け取り、
同じ職場の三人と、親友や知人として
通している七人に伝えてある。

人目につかないよう十分に用心し、
建物内に入り、地下へ降りた。

「ずいぶん早いのねえ。流石、
 リーダーのお気に入り
 ってとこねえ。」

久しぶりに来た組織内で
始めに聞いたのは皮肉った声だった。

「サヤ。」

レイナは名前を呼び、挨拶とした。

「半年振りかしら?モデルの仕事?
 それとも夜の仕事?」

「モデルよ。夜だなんて。
 サヤ、あなた私のこと嫌いなの?」

サヤは、平和主義スパイの中では珍しく
レイナに対して
ライバル心を持っている。
しかし、容姿では勝てない。

かといって、他の面はというと、
任務の数も、人望も、信頼も、
言い寄る男の数も桁違いに
レイナのほうが多い。

「まさか、嫌いじゃないわよ。」

本当だ。
サヤはレイナ自身は嫌ってはいない。
ただ、羨ましくて仕方なく、
つい、憎まれ口を叩いてしまうのだ。

「そう・・
 それなら一緒に行きましょうか?」

「お、あ、い、に、く。
 今から行くとこがあるのよ。」

二人はここで別れた。