Pacifism Spy

「イチゴ!」

「ん?どうした?」

サンゴはいつもがスパイモードなのだ。
だから、イチゴと二人きりになったり、
組織に戻ったりすると、
明るい普通の女子高生になる。

「肩に蜘蛛がいるよ。
 十センチくらいの。」

「え?マジ?・・・
 と、取ってくれ~!」
(ダダダダダダダ)←走

「って言ったら?って・・・
 行っちゃった。」

いつもサンゴは
こうしてイチゴをおどかす。
このあいだは『あ!ユーフォーだ!』
というありきたりな嘘に引っかかった。

サンゴは、いつものように数分後に
少々怒りながら戻ってくる
イチゴを待った。

なかなか許してくれなくても
最終的には、
サンゴがスパイモードのように
簡単な返事しかしないことに
痺れを切らし、
イチゴが根負けして許してくれるのだ。




「あー!ちくしょー。」

イチゴは少し顔を赤くしながら
歩いていた。
イチゴは足が七本以上ある虫が
大の苦手だった。
親指くらいの大きさを超えると
我慢もできない。

高校一年の男の子がこんな
女の子のような弱みを他人に
知られたくないのは当然のことである。

「誰にも見られてねーよな。」

イチゴは先ほどサンゴに
驚かされた場所まで来て、
サンゴを捜した。

大きな川と芝生が綺麗な土手、
川原がある。

昼間は、幼い子を連れた家族が
ちょっと遊びに来たり、
お年寄りが散歩するのにちょうどいい。
学校が終わる頃には
小学生が何人か集まり
サッカーやキャッチボールを
している。

夕方になると晴れている日は
川が夕焼け色に染まり、
心を癒される気になるものだ。