イチゴはホームルームが終わると、
サンゴの席へ来た。

「サンゴ、リーダーが呼んでるって。」
「・・・ん。」

サンゴはそう返事をすると、
鞄を片手に席を立ち、
半歩先を歩くイチゴに続いた。

教室を出ると、ちょうど話をしていた
クラスメイトにからかわれた。

「おっ!ラブラブじゃん!」
「デートか?」

イチゴはそっけなく返した。

「そんなんじゃねえよ。
 な、サンゴ。」

「・・・ん。」

イチゴは名前からだと果物の苺を
連想させるため、実物をみなければ
ほとんどの人が女の子を想像する。

しかし、発音は
「イ」にアクセントがつく。

容姿は、茶髪にグリーンの目だ。
元からの色だが、一時は
カラーコンタクトだ
と先生や同級生、果ては上級生にまで
嫌味を言われることもあった。

しかし、イチゴはへこたれず、
いつも通りに振舞った。

おかげで、上級生と同級生は、
嫌味を言わなくなり、
友達と呼べる関係になったのもいる。
ただ、先生は相変わらずだ。

サンゴは鮮やかな赤い髪を
背中までまっすぐに伸ばしている。

サラサラで、やはり同級生や上級生に
嫌味を言われ、先生(主に女性)は
地毛だというサンゴの
言い分を信じない。