Pacifism Spy

イチゴは時雨を背負い、
サンゴと一緒に走り出した。

さっきの揺れからずっと揺れ続けている
この状況ではエレベーターは使えない。

階段を出来る限りのスピードで昇っていった。
しかし、そのうち二人のペースが落ちてきた。

サンゴは、失った腕の方の肩に
痛みが出てきたようだ。

イチゴは、血を分けた上に
時雨を背負っている。

そのとき、一段と大きな揺れが二人を襲った。

「ぅわ!」

「・・・っ!」

イチゴもサンゴも大きくよろめいた。

サンゴは手すりをうまく掴んだが、
イチゴは掴み損ね、揺れで出来た
大きな割れ目に落ちてしまった。

が、辛うじて片手が地を掴んだ。