自己流の体術しか使わないはずの彼は、
転がっていた拳ほどの石を
二、三個掴みレイとサヤに向って投げつけた。

二人がかわし、春雨から離れた一瞬のうちに
秋雨は春雨を猛スピードで自分のほうへ
引き寄せた。縄を解きながらつぶやいた。

「俺の勝ちだな。」

それに気付いた秋冬は油断していた
サンナを突き飛ばし、それにびっくりした
ニーナから春夏を取り返し
霜降のすぐそばに移動した。

そのとき、大きな爆発音が立て続けに
五回なり、それが終わらないうちに
小刻みな揺れが始まった。
時折、大きな揺れも加わる。

霜降は何事かと慌てる平和主義スパイたちを
見回し、レイと目があうと、
嘲るような笑みを浮かべた。