レイは霜降が這い登ってくるのを
待っていたが、なかなかこない。

もしや自ら腕を切って落ちていったのでは?
いや、そんなことはありえない。

(落ちたなら音がするはずだ。)

レイはじりじりと霜降りの様子を
見に行った。霜降はぶらさがったまま
レイを見上げ、

「ここまでか。」

と言い、手を離そうとした。
しかし、手を離したのと同時に
レイが手を掴んだ。

「なんのつもりだ?」

「私たちはなるべく人を殺さない。」

「敵に情けは無用だ。離せ。

「いや、離さん。」

レイはそう言い、霜降を引き上げた。