「ダメでしょ早弁しちゃ。お昼からお腹すくよ?」



「お前の飯はうまいからすぐなくなる」



「……っ」




胸がキューッとくすぐったくなった。


湊斗は素で言ってるんだろうけど、そういう言葉で勘違いしてしまう女の子はたくさんいることを、こいつは知らない。



それはあたしも一概ではなく、湊斗の言動や仕草に、いちいちドキッとしてしまう自分をどうにかしたい。




「どこで食うの?」



「んー、まだ悩んでる。中庭に行こうかな?」



「ぼっち弁当かよ」



「うるさいな」



わかってるよ。転校して結構日が経つというのに、未だに友達ができてないってこと。



でもやっぱり、学園長の特別扱いというか……自分の功績とかが、みんながあたしを特別視する理由になってるからか……近づいてきてくれない。



近づくタイミングも見失ったし、本当に参る……。