うつぶせていた顔を横に向けると、すぐそこにしゃがんでいた湊斗の顔があり、ビックリした。



……ち、近い!




「早く言えば良かったのに、なんで俺を呼ばなかった?」



「えっ?」



「助けて欲しいときは、ちゃんと自分から言え。俺を頼ればいい」




そんなことを言われたのは初めてで。



だってあたしは、小さな頃からお姉ちゃんとして頑張って、たった一人の弟のために努力してきた。



守る側の人間だったから、守られる側の方の立場なんてよくわからない。



……けれど湊斗の言葉が、とても……とても嬉しかったのは、なんでなんだろう。




「だって湊斗、ダラダラしてたから。まだ寝てるのかと思って」



気恥ずかしさもあってか、そう言った。



「お前がランニングしろって言っただろ」



「確かに犯人捕まえに走ってたね」



「やる時はやる男だ。やらないだけで」



「自分で言っちゃうのか、そこ」



テンポのいい掛け合いに、お互いクスッと笑いがこみ上げる。



そんなあたしの顔を見て、湊斗はよりふっと頬を緩めた。