「早く行くぞ」



「あ、待って」



あたしは先を歩く湊斗に着いて行く。



脚、長いなー。


だけど、わざと歩く速さを落としてくれてるんだろう。


あたしに歩幅を合わせてくれてるのがわかる。


だからあたしと湊斗は、付かず離れず一定の距離を保っている。




「被写体として、興味持った」



「は?」



「俺、人間を撮りたいって思ったのは初めてだから。よろしくな」



……ちょい待て、意味わからん。



勝手に話題を持ち出されて、勝手によろしくされたけど、正直なところ、はい?って感じなんですが。



「ん、これに連絡先いれといて」


「えっ……」



湊斗はあたしに自分のスマホを渡してきた。



な、なに急に?



「なんかあったら呼んで」



それだけ言って、あたしにスマホを預けた湊斗はまた歩き出す。



まあ、連絡先は知っといたほうがお互いなにかと便利だもんね……。


あたしは器用ながらに前を見ずに歩きながら、自分の連絡先を登録してスマホを湊斗に返した。