「……まぁ、そういったものはこれからでも問題ないだろう。
それより、今日から新しい生活が始まるけど、大丈夫そうかい?」



そんなあたしの様子から、何かを察した学園長は話題を変えてくれた。



新しい生活……それはすなわち、ワケあり荘での生活のことだろう。



「何も問題ありませんよ。十分やっていけます」



それは本音だった。


だって、ワケあり荘に来る前に住んでたオンボロアパートよりかは、幾分か整備もされてて住みやすそうだったし、木造で作られたあの建物は、どこか趣きがあってあたしは好きだ。


こないだ、少しだけ外から建物を見させてもらったけど、とても雰囲気が良かった。



今朝、あたしの家から荷物が運ばれたみたいだから、ワケあり荘に着いたらその荷物を整理しないといけないな……。




「何か不備があったりしたら、すぐに言ってもらえると嬉しいな。
君と真守くんが快適に住める環境を作るために、私も人事を尽くしたいと思っているからね」



「ありがとうございます」



はてさて……。


あたしがワケあり荘に住まうキッカケとなったのは、他でもない。


今、学園長の口から出た〝真守くん〟という人物が原因だ。