おぼつかない足取りで、あてもなく一本道を歩く。
手には財布もケータイもなく、頼れるものが何1つない。
すっかり日が落ちて、さっきまでオレンジ色だった空も紺碧に包まれかけていた。
「……最悪……」
独り言をつぶやきながら、上を見上げる。
夕日が沈んで、もうすぐハッキリとした月が見えるだろう。
けれどそんなものを目印にしたところで、あたしには帰る家がないのだ。
……ていうか、真守をひとりにしちゃった。
あの子を放って飛び出すって、姉としてどうなの。
絶対にあの子だけは、手を離しちゃいけないのに。あたしが守らなきゃいけないのに。
「……もう、バカだ……」
自己嫌悪に陥りつつも、あんなに啖呵を切ってしまったあとだ。
すんなりとワケあり荘にも帰れるはずもない。
しばらくは何も考えたくなくて、あたしは近くにあった公園のベンチに腰掛けた。



