「おい、玲央」
金髪男を制すように、都築湊斗は肩に手を置き行動を止める。
だけど、その男の口は止まらない。
「だったら尚更出て行けよ。こんなところにいないで、優しい母親と父親がいるおうちに帰れば?」
わざと、あたしを貶したような言い方だった。
〝優しい母親と父親がいるおうちに帰れば?〟
その言葉は、あたしにとって禁忌だ。
……そんなの……もういない。帰りたくても、あたしの帰る場所なんて、存在しない。
あたしの中に膨れあがる、怒りや悲しみという感情が、ごちゃ混ぜになって暴走した。
「……ふざけんなは、こっちのセリフ……」
ポツリと、誰にも聞こえないような声でつぶやいた。
怒りのせいで、声ば震えていた。
きっと聞こえたのは、あたしの腕の中にいる真守くらいだと思う。
「あ?」
金髪男に負けないくらい、あたしはキツく、キツくヤツのことを睨み、立ち上がった。
「お姉ちゃん……?」
真守が心配そうにあたしのことを見てる。だけどもう、真守のことを気にしている余裕すらなかった。



